イノベーション創出力を持った女性リーダー育成プログラム】
モジュール2Day1「デザインリサーチの基礎を学ぶ」の対面授業が7月15日(土)に行われました。
モジュール2では、これまでモジュール1で学んだ場づくりやファシリテーションのスキルを活用しながらチームで問題を発見して解決のアイデアを練っていくデザインシンキングを学びます。これまでの学びに付加価値をつけていくことでもあります。
まずは、チェックインを兼ねて、今の気持ち、自分の感情に向き合う時間をとりました。
モジュール2を担当する聞間先生(きっきー先生)曰く、「学びを続けていくうえで大切なのが、セルフコントロールです。コントロールするには、今、自分の気持ちがどこにあるのかを捉えることがまず何よりも大事です。」とのこと。
今の自分のエネルギーの状態、心の状態がどこにあるのかを捉えることを、モジュール2では意識的にやっていきます。
授業の冒頭、聞間先生から、デザイン思考とイノベーションに関するレクチャーがありました。
デザイン思考とは何か?これは諸説ありますが、デザインコンサルタント会社のIDEO創設者ティム?ブラウンは「実行可能なビジネス戦略にデザイナーの感性と手法を用いて、顧客価値と市場機会の創出を図ること」と述べています。デザイナーの感性や考え方、デザインの力、構想力を用いて、アイデアを実現させ、ビジネスとして成り立たせると言ってもよいかもしれません。
イノベーションとは何か?これも諸説あり、これだ!という定義は難しいのですが、モジュール2では「人間の行動?習慣?価値観に不可逆の変化をもたらすアイデアの普及」ととらえています。スマートフォンや全自動洗濯機など、それがなかった時代にはもう戻れない、そんな新しい価値観や行動様式を生むアイデアがイノベーションです。これは㈱リ?パブリック共同代表で、昨年度までこの講座の担当講師をなさっていた田村大さんの考え方でもあります。
その後は、とにかくやってみる!を合言葉に、90分間でデザイン思考のプロセスを体験するワークショップを行いました。
デザイン思考のプロセスは、聞いて回る「旅人」モード、集めたものを整理する「ジャーナリスト」モード、自分の気持ちを入れ、提案をしていく「編集者」モード、アイデアを形にする「エンジニア」モードをぐるっと回し、時には後戻りしながら進んでいきます。
まずは旅人モード。「新しい財布をデザインする」をテーマに、2人一組で相互にインタビューを行い、相手が財布に求めるもの、譲れないこだわりなどの情報をとにかく集めます。次にジャーナリストモード。今、聞いた内容をもとに、ニーズを整理し、インタビュアー自身の気づきを整理していきます。
続いて編集者モードでは、相手が喜びそうな提案を考えていきます。提案したときに相手が喜んでくれることをイメージしながらアイデアを出していきます。
さらに続くエンジニアモードでは、実際に手を動かして試作品を作ります。今日の授業では、色画用紙やフェルト、リボンなどを使って、相手の求める財布を作ってみました。試作品作りは、雑でも構わないので、とにかく短時間に素早く行います。色とりどり、様々な形状、仕様の財布が出来上がりました。
そして、再び「旅人」モードに。作った試作品を相手に見せて、フィードバックをもらいます。フィードバックは言葉だけではなく、相手に見せたときの反応や表情も大事な要素です。自分の作ったものに思い入れが強すぎると、素直にフィードバックが受け入れられない危険性もあるので、フラットにニュートラルに受け止められることも大事です。
実際にはこのあと、不足している情報を集めたり、再度試作品を作成したりと、ジャーナリストモード、編集者モード、エンジニアモードをぐるぐると繰り返していきます。
90分のワークショップを行った後は、振り返り。
デザイン思考とは何か?ここがよいな、と思った点、難しいと思った点、質問や疑問点などをチームで振り返り、全体に共有します。
形を作りながら考えるので、ゴールがわかりやすい、相手のことを考えながら進められるのがよいといった意見や、アイデアを出したり、実際に作っていくのは難しい、共感できない意見が出てきたらどうするのか?といった疑問が出てきました。
聞間先生からは「インタビュー相手から共感が得られないということは、むしろチャンス。自分では想定していなかった気づきが得られたということ。共感できないことの中に発見があるので、受け止められる人間力が大事になる。」とアドバイスをいただきました。
午後からは、ミニワークショップで体験したそれぞれの段階をひとつずつ、丁寧に学んでいきます。
まずは、リサーチ。ミニワークショップでは、インタビューを行いましたが、リサーチ方法はそのほかにもいくつかあります。
行動を重視するのか?発言を重視するのか? 定量的なデータで判断するのか?定性的なデータで判断するのか?など、やり方は様々です。
?リサーチの種類
授業では、インタビュー調査を中心にリサーチを進めていきます。インタビュー調査は一般的でもあり、比較的取り組みやすく、わかりやすいものです。
インタビューは「誰に」「何を」聞くか?が大事です。
誰に…インタビューには個別インタビュー、グループインタビューがあります。必ずしも1対1で行う必要はありません。
何を…インタビューの形式には、事前にインタビュー項目を設定しておく構造化インタビューと質問などを決めずに進めていく非構造化インタビューがあります。一般的なものは、ある程度質問を想定し、話の流れに乗りながら脱線もよし、とする半構造化インタビューと言われるものです。
インタビューはチームで行うのがおススメです。メインで質問する係、質問が出尽くしたり、別の角度からの質問をなげかける質問係のサブ担当、記録をとるノート係、また、写真も重要な記録になるため、写真係も決めておくとよいでしょう。インタビューが終わった後は必ず振り返りを行い、事実の確認だけではなく、気づきを交換?記録しておくとよいでしょう。
その後、実際に、個別インタビュー演習を行いました。
インタビューイー、質問係のメイン?サブ、ノート係、写真係を全員が必ず1度体験します。体験からの気づきを演習が終わるごとに振り返りを行い、全体で共有し、気づきと学びを蓄積していきました。
質問者と記録係は事前に質問内容を確認しておく必要がある、座る位置は?聞いてくれる人が興味をもってくれるとリラックスして話しやすい、写真を撮られるのは緊張する、写真を撮ることに夢中になってしまって話の内容が覚束なかった???など振り返りの中から、リサーチのポイントがどんどんと積みあがっていきました。
明日は、「ジャーナリスト」モードを深掘りしていきます。
モジュール2の4日間は、ぜひ意識的に、「今はどのモードにいるんだろう?」と確認しながら学んでみてください!
★※授業を「可視化」に!!
講師岸先生より、今日の授業の内容を「可視化」に、まとめて頂きました。
<お問い合わせ>
福岡女子大学 地域連携センター 女性学び直し担当
manabi@fwu.ac.jp
092-692-3198