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- 2022.08.18
- 【研究】香辛料クルクミンはISG15修飾を減弱する
ウイルス等に感染すると体内にインターフェロンが発現誘導され、抗ウイルス活性を発揮する。ISG15はインターフェロン依存的に発現誘導されるタンパク質である。400種類以上のタンパク質がISG15と共有結合(ISG15修飾)することが知られており、
ISG15修飾は抗ウイルス活性を担っていると考えられている。
ISG15修飾は可逆的であり、USP18という酵素はISG15をタンパク質から取り除くことができる。USP18もインターフェロン依存的に発現誘導される。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はpapain-like protease(PLpro)を産生する。PLproもISG15をタンパク質から取り除く活性がある。つまり、新型コロナウイルスはPLproを産生し、ISG15修飾を抑制する。従って、高レベルのISG15修飾を維持することはコロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化や伝播を抑制する可能性がある。
しかしながら、ISG15修飾を亢進あるいは減弱する栄養素等は不明であった。私たちは、香辛料のクルクミンがISG15修飾を減弱することを明らかにした。詳細に解析した結果、ISG15修飾の第一ステップであるISG15の活性化が、クルクミンにより抑制されていることが明らかとなった。
COVID-19の症状は多様であり個人差が大きい。原因として、個々の遺伝的背景の違いが挙げられるが、食生活の違いも症状の多様性に関与している可能性がある。本研究結果は細胞株を用いた実験結果であり、今後は個体レベルで同様の影響を及ぼすかを解析する必要がある。
本研究成果は北海道大学との共同研究であり、Biochemical and Biophysical Research Communications (BBRC)に掲載されました。BBRCは重要な研究結果を迅速に報告することを専門とした国際ジャーナルです。
Nodoka Oki, Shino Yamada, Tamaki Tanaka, Hiromi Fukui, Shigetsugu Hatakeyama & Fumihiko Okumura*
Curcumin partly prevents ISG15 activation via ubiquitin-activating enzyme E1-like protein and decreases ISGylation, Biochemical and Biophysical Research Communications, in press (2022)
■研究者情報
福岡女子大学国際文理学部 食?健康学科
准教授 奥村 文彦
福岡女子大学研究者データベース