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5/10 |
プラトン『メノン』は何を言おうとしているのか
古代ギリシアの哲学者プラトン(前428/427~前348/347)の著作は、戯曲の様式に則った対話形式で書かれ、「対話篇」と呼ばれる。『メノン』は、プラトンの初期から中期への移行期に属する対話篇で、この対話は、主として20歳くらいの青年のメノンと67歳くらいの老年のソクラテスによって、前402年の1月か2月はじめのアテナイで行われたという設定になっている。
対話のテーマは、「徳は教えられうるか」であった。この講義では、対話全体の流れを大まかにつかみ、「学ぶ」とか「探求する」とかと呼ばれていることが、どのようなこととして考えられているのかを明らかにしたい。その関連で、「道徳を教えるとはどういうことか」についても言及したい。 |
森 邦昭
(人文学系) |
6/14 |
イギリス伝承バラッド
バラッドとは、もともと文字を持たない民衆によってヨーロッパ各地でうたい継がれてきた物語歌です。内容は多種多様で、身分違いのゆえに結ばれない恋の悲劇や、嫉妬と呪い、近親相姦、ユーモアあふれる日常生活、妖精物語など、いずれも民衆の豊かな想像力が生み出したものです。
講義では、そのようなバラッドを実際にテープで聴いていただきながら、バラッドの世界をご案内します。また、18世紀以降、廃れゆく伝承バラッド(traditional
ballad) が蒐集?出版され、それとともに民族の遺産としてのバラッドの存在に多くの詩人たちが注目するようになり、「バラッド詩」 (literary
ballad) と呼ばれる独特の模倣詩が生まれましたが、時間が許せば、そのような作品も少しご紹介します。 |
山中 光義
(英文学科) |
7/12 |
歴史の研究と中世ヨーロッパの言葉
歴史の研究には当時の言葉を知ることが必要ですが、中世ヨーロッパを研究する場合、その言葉はラテン語になります。この講座では、このラテン語がどんな言葉であるか、そして当時の人々によってどのように書かれていたかを見ていきます。
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北田 葉子
(人文学系) |
8/9 |
源氏物語の人物造型
『源氏物語』の登場人物の中から、花散里という女性を取り上げて、この人物がどのように描かれているかを考えてみる。物語の中で一人の人物が肉付けされてくる過程をたどることによって、『源氏物語』の創作の背景に迫ってみたい。あわせて、花散里が最初に描かれている巻の複製本なども紹介して、この物語がどのように現代まで伝わってきたか、文化史的な側面も考えてみたい。 |
田坂 憲二
(国文学科) |
9/13 |
「小鳥が小道をやってきた」アメリカの詩を読む
19世紀後半、アメリカ東海岸のアマーストという町で、ダイヤモンドのように硬質で含蓄のある短い詩を書き続けた詩人がいた。彼女の名はエミリー?ディキンスン(1830-1886) 。生前に出版された詩は10編たらずだったが、20世紀半ばになって出版された『エミリー?ディキンスン詩集』に収められた1775編は、アメリカでも日本でも高く評価されている。
講義ではやさしい自然詩を1編と、どきっとするような死を描いた詩を1編読み、彼女の自然観と死生観を考えたい。英語の原詩と日本語訳を並べたプリントを用意するので、彼女の詩がもつ「言葉」の奥行きと不思議な力を見つけて楽しんで欲しい。 |
吉崎 邦子
(英文学科) |
10/11 |
日本語は乱れているか
近時日本語に関心が高くなっているように思われる。書店に於ても「日本語」を冠した書名をみかけることが多い。この様な状況を考えあわせて所謂「乱れ」「誤り」とされることの多い用語などを見直してみたい。
内容上特定の書籍を使用していくことはせず当日配布のレジュメ(ハンドアウト)によって話しを進めていくこととする。 |
矢野 準
(国文学科) |
11/8 |
ワシントン?アーヴィング「リップ?ヴァン?ウィンクル」
-民話?政治?フェミニズム批評-
19世紀初期のアメリカ作家ワシントン ?アーヴィングは「アメリカ小説の祖」と言われる。短編小説「リップ?ヴァン?ウィンクル」( 1820 )は米国版「浦島太郎」として知られ、ドイツ民話をアメリカ東部を舞台に改変し、小説化したものである。民話をもとに小説を作りあげる過程で、人間の心理、政治、ジェンダーの問題が作家の意識の中で如何に処理されているかを考えてみたい。
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馬塲 弘利
(英文学科) |
12/13 |
万葉集のユーモア
教科書的な解説書では触れられることのない「宴席歌」や「比喩歌」を取り上げます。諧謔、機知、皮肉、駄洒落???、『万葉集』の意外な側面に迫って、その発想の妙と恋情表現に対する意識を探ります。後世の“技巧的な表現”とは一味違う『万葉集』独自の掛詞や比喩の面白さを味わって下さい。 |
月野 文子
(国文学科) |
1/10 |
哲学の言葉
「万物の元初は水である」(タレス)。「自然は隠れることを好む」(ヘラクレイトス)。「われ思う、ゆえに、われあり」(デカルト)。「哲学を学ぶのではなく、哲学することを学ばなければならない」(カント)等々。よく知られた哲学者の言葉をいくつか取り上げて、原語と照らし合わせながら、その意味を探る哲学入門の試みです。どうぞ気楽に参加してください。
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望月 俊孝
(人文学系) |
2/14 |
シェイクスピア作『ハムレット』の独白を読みとく
世界文学史上最高の悲劇作品のひとつ『ハムレット』は、「文学のモナリザ」といわれ、〈あいまいさ〉に満ちた劇作である。とりわけ主人公ハムレットの人物像には〈あいまいさ〉が付きまとうが、この講義では、ハムレットの7つの独白のなかから第1独白、第4独白、第7独白をとり上げて、それらの内容を吟味?分析することで、ハムレットが抱えている問題に肉薄し、『ハムレット』の解明に迫りたい。 |
村里 好俊
(英文学科) |