福岡女子大学かすみ祭実行委員会、人間環境学部環境理学科、女性生涯学習研究センター 共催
かすみ祭第9回特別講演会
環境問題について学ぶ
本講演会は終了しました。ご参加いただいた皆様に御礼申し上げます。
開催概要
日 程 平成20年11月8日(土)
時 間 14時00分~16時00分
会 場 福岡女子大学附属図書館1階 視聴覚室
対 象 高校生以上の男女。
定 員 なし
受 講 料 無料
受講方法 予約不要。当日会場までお越し下さい。
講座概要
回
テーマ
講師
1
有明海の生態系の異変
有明海は「豊饒の海」と呼ばれ、約2万ヘクタールにおよぶ広大な干潟を擁し、干潟およびその沖合いでは、漁業資源として利用可能な魚介類や海藻類を含む様々な生物が大量に生息する。沿岸の地域では、その自然の恵みを生活の糧として、この豊かな生態系とともに社会が営まれてきた。ところが、いま、この豊饒の海に危機的な事態が生じている。1970年代には10万トンを超えるアサリが獲られていた有明海東岸の砂質干潟では、1980年代に漁獲量が激減し、いまでは1万トンにも満たない。アサリの生息する干潟の生態系に、生物の生息を困難にする深刻な事態が発生している。続いて1990年代後半より、秋季に大規模な赤潮が発生するようになった。赤潮は、有明海のような地形的な閉鎖性の強い海域で、沿岸から流入する栄養塩の量が何倍にも増加し、海水が富栄養化することで発生する。しかしながら、有明海ではそのような栄養塩流入量の増加は起きていない。大規模な赤潮の発生は大量の有機物生産を意味し、それが海底に沈積し、夏季に集中的に分解されて、海底付近では大きな酸素消費源となる。有明海奥部の諫早湾、佐賀県や福岡県の海域では、2000年代に入って貧酸素化現象が発生し、年々深刻化している。これらの生態系異変はどのような原因によって発生しているのか、その全体像に迫る。
堤 裕昭
教授
(熊本県立大学
環境共生学部)
2
環境問題の実相
20世紀は市場経済の放任によって、大量生産、大量廃棄が拡大し、日本経済は著しく進展したが、21世紀には、20世紀で見過ごしてきた天然資源の枯渇、地球環境の悪化という大きなツケが回ってきた。世界中で発生する最近の気候異常は、環境に無関心を装っていた人々に対しても自分たちのしてきたことに致命的な問題があることを再認識させる結果となっている。さらに、この異常気象を含めた環境悪化は、各国の政府を動かし、資源循環型社会の構築へ向けての新政策を引き出している。行政は、関連法や条例を施行し、市民はNPOとともに地域環境活動を広げ、企業はCSRの理念の基に環境に係わる地域貢献活動を進めている。しかし、環境問題は、人間の生活あるいは生産活動によって発生することから、極めて複雑で多岐にわたっている。特に、人間の衛生的で快適な生活と環境を保全する行動とはトレードオフ(相克)の関係にある。また、環境保全の裏には、どこかで環境負荷が発生するトレードオフがある。しかし情報の偏りから、私たちが環境問題を考えるとき、トレードオフの片面しか見えないことがある。環境問題を正しく読み取り、原因と対策を考えるには、科学的な視点からのアプローチが極めて重要である。本講演では、環境問題の真の姿を紹介し、これから私たちは何をすべきか一緒に考えていきたい。
篠原 亮太
教授
(熊本県立大学
環境共生学部)
お問い合わせ先
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