7月4日 第1回 基礎講座 「ワークショップデザイン」
2020年07月15日活動報告
いよいよ令和2年度 福岡女子大学アートマネジメント講座がスタートしました。
本講座の最大の特色は基礎講座と事例研究に加えて、実践演習があること。初日となるこの日から2月に予定している報告会までに、企画?運営に必要なことや先行事例を学びながら、受講生自身がアートで結ぶ場をつくる企画を考え、グループで準備を重ねて実施することとなります。
第1回は基礎講座「ワークショップデザイン」。本学の社会人学び直しプログラムのコーディネーター ワークショップデザイナーの岸智子さんを講師に迎えて、ワークショップとは何かを体験の中で感じ取り、受講生同士がお互いへの理解を深める、これからの学びに向けて必要なものが詰まった充実した時間となりました。
この日のルールはワークショップの3つの大きな特徴である主体的な「参加」、具体的な「体験」、「相互作用」の中での学び合いを「実践すること」。そしてゴールは「これから共に学ぶ仲間を知り、違いを受け止めること」。
まずは、ワークショップにおいて重要な要素である適した環境をつくるため、会場レイアウトを変更することに。机を動かすことから受講生の実践が始まりました。
半円状にイスを並べてお互いが見えるように座った受講生たちは、点と点を「よろこび」や「かなしみ」を表現する線で結ぶ簡単なワークを行いました。この日の目的を果たすための第一歩。ただ線を引くだけでも個性が出ること、お互いの違いを知ることができることを感じました。
次に自分の名前のまわりに書き込んだ5つのキーワードをもとに、他の受講生から質問を受ける形で自己紹介をしました。
「ねちがい」「テーブル」「ファッション」「舞台」「パン屋さん」「映像」「10年」「3回」。それぞれの用紙に書かれた気になるキーワードに次々と続く質問。笑い声や共感の頷きの中、この日出会ったばかりの受講生がお互いの人となりを知る手がかりを得て、あっという間に打ち解けていきました。
なかなか得意という人はいない自己紹介も、質問形式にすると相手が気になっていることを伝えられてもっと話したくなり、聞く方も知りたくなる。方法の選び方次第でその場が和み充実したものになることがわかりました。
次は「好き」を掘り下げる体験。この一年に買ったものを書き出し、高価なものの順に並び替え、次に大切な順に並び替え、その中からとなりに座っている人にあげるものを選びました。会ったばかりの仲間へのプレゼント。
架空のプレゼントですが、選んだものにはその人らしさや相手にどんな印象を持っているかが現れ、自分のために選んでくれた人への感謝も生まれました。これから共に様々なハードルを越えていく仲間といい関係をつくるきっかけといえる、岸さんからのプレゼントのような楽しい時間となりました。
丁寧な導入に始まり、適度な休憩、振り返りを挟みながら、午前中2時間、午後3時間をかけて進む体験型講座。その時間の使い方、進行の仕方、一つひとつが学びとなります。
午後からは、五十音が書かれたカルタのようなカードを使ったワークを行いました。大学内を歩き回って「あ」から「わ」で始まる名詞を探して書き込みます。美術館に展示してある「メデューサ」や「力士」、窓から見える雨上がりの「中庭」。この日、この時ならではの「ことば」が書き込まれていきました。
次は同じカードを使って、それぞれ思いつく形容詞を書き込み、みんなで集めた名詞カードと形容詞カードを山にして一枚ずつめくって組み合わせ、「へんてこことば」をつくりました。
「ツンデレっぽいメデューサ」「わざとらしい子ども」。一枚ずつめくるごとに笑い合ったり頷き合ったり。おもしろいもの、そうでもないものに仕分けをして盛り上がりました。
その中からお気に入りの「ことば」を選び、その「ことば」からそれぞれ妄想を広げて発表することに。
レバーを引くと虹、音楽、何が出てくるかわからない「たのしい消火器」。待ち合わせのときに手を上げるとすぐに見つかる、でも寝るときは手袋をしないと眠れない「まぶしい片手」。この日生まれた「へんてこことば」を使ってつくった歌のイメージを絶え間なく映し出す「ぬけめのないイーゼル」。心に浮かんだ豊かな世界を見せてくれる受講生たち。何もないところから見えるものと思いついたことを「ことば」に変え、「ことば」を組み合わせたところから素晴らしい物語が生まれていきました。
何か新しいものを生み出そうとするとき、取っ掛かりが見つからずとても難しいことのように感じますが、組み合わせることにより新たなものが生まれる、そのことに自分の体験として気づくことができました。
参加し、体験し、お互いから学び合うワークショップの特徴を、聞いて学ぶのではなく、実践したことにより「ワークショップとは何か」という問いに、それぞれなりの理解を深めた受講生たち。
講座の終わりには「いろんな方の発想を知れたことがよかった」「構えることなくスッと入ることができた」「違う職種、年齢の人がそれぞれの視点で話しができてよかった」「参加する人に楽しんでもらう姿勢のヒントを得ることができた」などという声が聞かれました。
中にはワークショップへの参加の苦手意識を告白する受講生もいましたが、岸さんは「苦手意識は克服しなくても大丈夫です。これから企画を実践する中で、ワークショップへの参加を苦手と感じる参加者もきっといるでしょう。参加者の気持ちがわかることは強みになります」と伝えました。多様な人がアートの喜びを享受する場を創造するにあたって、みんながそれぞれ違う、その違いを受け入れ合っているという「創り出す側の多様性」は最大の強みとなることが感じられました。
アートマネジメントを学ぶこと、この仲間とこれから企画を生み出し実現することが楽しみになる、まだ不安はあったとしても、なんとかなると思える、そんないい船出の日となったのではないでしょうか。
本講座の最大の特色は基礎講座と事例研究に加えて、実践演習があること。初日となるこの日から2月に予定している報告会までに、企画?運営に必要なことや先行事例を学びながら、受講生自身がアートで結ぶ場をつくる企画を考え、グループで準備を重ねて実施することとなります。
第1回は基礎講座「ワークショップデザイン」。本学の社会人学び直しプログラムのコーディネーター ワークショップデザイナーの岸智子さんを講師に迎えて、ワークショップとは何かを体験の中で感じ取り、受講生同士がお互いへの理解を深める、これからの学びに向けて必要なものが詰まった充実した時間となりました。
この日のルールはワークショップの3つの大きな特徴である主体的な「参加」、具体的な「体験」、「相互作用」の中での学び合いを「実践すること」。そしてゴールは「これから共に学ぶ仲間を知り、違いを受け止めること」。
まずは、ワークショップにおいて重要な要素である適した環境をつくるため、会場レイアウトを変更することに。机を動かすことから受講生の実践が始まりました。
半円状にイスを並べてお互いが見えるように座った受講生たちは、点と点を「よろこび」や「かなしみ」を表現する線で結ぶ簡単なワークを行いました。この日の目的を果たすための第一歩。ただ線を引くだけでも個性が出ること、お互いの違いを知ることができることを感じました。
次に自分の名前のまわりに書き込んだ5つのキーワードをもとに、他の受講生から質問を受ける形で自己紹介をしました。
「ねちがい」「テーブル」「ファッション」「舞台」「パン屋さん」「映像」「10年」「3回」。それぞれの用紙に書かれた気になるキーワードに次々と続く質問。笑い声や共感の頷きの中、この日出会ったばかりの受講生がお互いの人となりを知る手がかりを得て、あっという間に打ち解けていきました。
なかなか得意という人はいない自己紹介も、質問形式にすると相手が気になっていることを伝えられてもっと話したくなり、聞く方も知りたくなる。方法の選び方次第でその場が和み充実したものになることがわかりました。
次は「好き」を掘り下げる体験。この一年に買ったものを書き出し、高価なものの順に並び替え、次に大切な順に並び替え、その中からとなりに座っている人にあげるものを選びました。会ったばかりの仲間へのプレゼント。
架空のプレゼントですが、選んだものにはその人らしさや相手にどんな印象を持っているかが現れ、自分のために選んでくれた人への感謝も生まれました。これから共に様々なハードルを越えていく仲間といい関係をつくるきっかけといえる、岸さんからのプレゼントのような楽しい時間となりました。
丁寧な導入に始まり、適度な休憩、振り返りを挟みながら、午前中2時間、午後3時間をかけて進む体験型講座。その時間の使い方、進行の仕方、一つひとつが学びとなります。
午後からは、五十音が書かれたカルタのようなカードを使ったワークを行いました。大学内を歩き回って「あ」から「わ」で始まる名詞を探して書き込みます。美術館に展示してある「メデューサ」や「力士」、窓から見える雨上がりの「中庭」。この日、この時ならではの「ことば」が書き込まれていきました。
次は同じカードを使って、それぞれ思いつく形容詞を書き込み、みんなで集めた名詞カードと形容詞カードを山にして一枚ずつめくって組み合わせ、「へんてこことば」をつくりました。
「ツンデレっぽいメデューサ」「わざとらしい子ども」。一枚ずつめくるごとに笑い合ったり頷き合ったり。おもしろいもの、そうでもないものに仕分けをして盛り上がりました。
その中からお気に入りの「ことば」を選び、その「ことば」からそれぞれ妄想を広げて発表することに。
レバーを引くと虹、音楽、何が出てくるかわからない「たのしい消火器」。待ち合わせのときに手を上げるとすぐに見つかる、でも寝るときは手袋をしないと眠れない「まぶしい片手」。この日生まれた「へんてこことば」を使ってつくった歌のイメージを絶え間なく映し出す「ぬけめのないイーゼル」。心に浮かんだ豊かな世界を見せてくれる受講生たち。何もないところから見えるものと思いついたことを「ことば」に変え、「ことば」を組み合わせたところから素晴らしい物語が生まれていきました。
何か新しいものを生み出そうとするとき、取っ掛かりが見つからずとても難しいことのように感じますが、組み合わせることにより新たなものが生まれる、そのことに自分の体験として気づくことができました。
参加し、体験し、お互いから学び合うワークショップの特徴を、聞いて学ぶのではなく、実践したことにより「ワークショップとは何か」という問いに、それぞれなりの理解を深めた受講生たち。
講座の終わりには「いろんな方の発想を知れたことがよかった」「構えることなくスッと入ることができた」「違う職種、年齢の人がそれぞれの視点で話しができてよかった」「参加する人に楽しんでもらう姿勢のヒントを得ることができた」などという声が聞かれました。
中にはワークショップへの参加の苦手意識を告白する受講生もいましたが、岸さんは「苦手意識は克服しなくても大丈夫です。これから企画を実践する中で、ワークショップへの参加を苦手と感じる参加者もきっといるでしょう。参加者の気持ちがわかることは強みになります」と伝えました。多様な人がアートの喜びを享受する場を創造するにあたって、みんながそれぞれ違う、その違いを受け入れ合っているという「創り出す側の多様性」は最大の強みとなることが感じられました。
アートマネジメントを学ぶこと、この仲間とこれから企画を生み出し実現することが楽しみになる、まだ不安はあったとしても、なんとかなると思える、そんないい船出の日となったのではないでしょうか。