10月27日 特別公開講座 広瀬 浩二郎氏 講演?ワークショップ「感性をひらく」
2018年11月06日活動報告
10月27日、28日に連動企画「特別公開講座 感性がひらかれるとき 触常者 広瀬浩二郎×彫刻家 片山博詞」を開催しました。
27日土曜日開催、全盲の文化人類学者である国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんの講演?ワークショップ「感性をひらく」には、視覚障がいの有無に関わらず幅広い年代の方々にご参加いただきました。
「視覚という便利なものに頼り、普段は閉じられている感覚があるのではないか。その閉じられた感覚をひらくというのが今日のねらいです。パワーポイントや画像を見せる講演は見える人にお任せして、今日はものに触る、音を聴く、講演をしたいと思います」
講演は広瀬さんによる今回のテーマ「感性をひらく」についての説明から始まりました。
「まずは音に集中するために目を閉じてください」呼び掛けに参加者は一斉に目を閉じました。
水音のような美しい音色が響き、みんなで耳を澄ましました。少し間を置き、また別の水音のような音色が響き、広瀬さんはどちらが好みかを問いかけました。
一つはサボテンの茎にビーズを入れたレインスティックと呼ばれる楽器の音色で、もう一つは透明のプラスチックでできた筒にビーズが入ったおもちゃの音でした。
レインスティックは自然のやさしい音、プラスチックのおもちゃはビーズがたくさん入っていて大きく長い音を響かせます。
音色には質の違い、量の違いがあり、どちらがいいかは好みの問題でしょうが、音だけ聴いてどちらがいいのか問われた場合と、見て聴いて好みを問われた場合とでは違った答えがでたかもしれません。
また、目で見た場合も似た音色を響かせる楽器とおもちゃには大きな違いがあります。
レインスティックは中が見えませんが、プラスチックは透明なので中でビーズが音を響かせているのが一目瞭然です。
見えているとビーズが動く音にしか聞こえませんが、見えなければ何の音だろうかと考える楽しみが広がります。
そこで広瀬さんはご自身が提唱する美術鑑賞法「無視覚流」について説明しました。
視覚により大量の情報を得ることができる。けれども、大量の情報には死角がある。
視覚は瞬時に情報を得ることができる。けれども、すぐに手に入る情報は記憶に残りにくい。
想像力を使い、少ない情報をゆっくりと感じることで、物や作品の背後にある目に見えにくいものも知ることができるのではないか、記憶に残る感じ取り方ができるのではないかと語りました。
参加者は無視覚流の鑑賞について、更に触覚を使った体験をしました。
袋に入った動物のフィギュア。見たら一目瞭然のものを触ってなんだろうかと感じます。
目で見るのとは違い時間は掛かりますが、目で見たときとは違う気づきやわかったときの喜びがあります。
広瀬さんのユーモア溢れる解説を聞きながら、広瀬さんが海外で買い集めた小さな楽器や人形など様々な物に順番に触れ、視覚に障がいのある方もない人も、改めて「触れて感じる」ことを楽しみました。
「物(モノ)と触れ合う講演」の次は「者(モノ)と触れ合うワークショップ」が始まりました。
広瀬先生はまず、参加者に自分に背を向けて壁の方を向くように指示し、「手を挙げて、手を振って」と呼びかけました。
そして「視覚が使えない不自由と視覚を使わない自由」について教えてくれました。
目が見えないことで不自由がある。
例えば、みんなが何かをやっているから、自分もとりあえずやってみる。でも違うことをしているのではないかと不安になる。
しかし、「周りの人と違ってもいい、自分の楽しみ方をしよう」そう考えたとき、視覚を使わないことで得られる自由がある。
「このワークショップでは、視覚を使わない自由を感じて欲しい」と広瀬先生は語りました。
隣りにいる人と握手をすることから始まり、腕の一部と一部をクロスさせるように重ね、触れた部分に集中しながら、相手がどう動きたいかを読み取り二人で調和しながら動きました。
参加者たちはダンスを踊っているように楽しそうに見えました。
交互にアイマスクをして、触れた部分により集中して互いの動きを感じたり、階段を歩く誘導をしたりと、普段はできないようなノンバーバルコミュニケーションを体験しました。
見えないからこそ広がる世界、見えないからこそ得られる自由を感じる、まさに感性をひらく時間でした。
広瀬さんは目が見えないから感じている豊かな世界を参加者に見事に体感させてくれました。
この「見えないからこそ得られる体験」は、翌10月28日の彫刻家 片山博詞さんの創作ワークショップへと続きます。
27日土曜日開催、全盲の文化人類学者である国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんの講演?ワークショップ「感性をひらく」には、視覚障がいの有無に関わらず幅広い年代の方々にご参加いただきました。
「視覚という便利なものに頼り、普段は閉じられている感覚があるのではないか。その閉じられた感覚をひらくというのが今日のねらいです。パワーポイントや画像を見せる講演は見える人にお任せして、今日はものに触る、音を聴く、講演をしたいと思います」
講演は広瀬さんによる今回のテーマ「感性をひらく」についての説明から始まりました。
「まずは音に集中するために目を閉じてください」呼び掛けに参加者は一斉に目を閉じました。
水音のような美しい音色が響き、みんなで耳を澄ましました。少し間を置き、また別の水音のような音色が響き、広瀬さんはどちらが好みかを問いかけました。
一つはサボテンの茎にビーズを入れたレインスティックと呼ばれる楽器の音色で、もう一つは透明のプラスチックでできた筒にビーズが入ったおもちゃの音でした。
レインスティックは自然のやさしい音、プラスチックのおもちゃはビーズがたくさん入っていて大きく長い音を響かせます。
音色には質の違い、量の違いがあり、どちらがいいかは好みの問題でしょうが、音だけ聴いてどちらがいいのか問われた場合と、見て聴いて好みを問われた場合とでは違った答えがでたかもしれません。
また、目で見た場合も似た音色を響かせる楽器とおもちゃには大きな違いがあります。
レインスティックは中が見えませんが、プラスチックは透明なので中でビーズが音を響かせているのが一目瞭然です。
見えているとビーズが動く音にしか聞こえませんが、見えなければ何の音だろうかと考える楽しみが広がります。
そこで広瀬さんはご自身が提唱する美術鑑賞法「無視覚流」について説明しました。
視覚により大量の情報を得ることができる。けれども、大量の情報には死角がある。
視覚は瞬時に情報を得ることができる。けれども、すぐに手に入る情報は記憶に残りにくい。
想像力を使い、少ない情報をゆっくりと感じることで、物や作品の背後にある目に見えにくいものも知ることができるのではないか、記憶に残る感じ取り方ができるのではないかと語りました。
参加者は無視覚流の鑑賞について、更に触覚を使った体験をしました。
袋に入った動物のフィギュア。見たら一目瞭然のものを触ってなんだろうかと感じます。
目で見るのとは違い時間は掛かりますが、目で見たときとは違う気づきやわかったときの喜びがあります。
広瀬さんのユーモア溢れる解説を聞きながら、広瀬さんが海外で買い集めた小さな楽器や人形など様々な物に順番に触れ、視覚に障がいのある方もない人も、改めて「触れて感じる」ことを楽しみました。
「物(モノ)と触れ合う講演」の次は「者(モノ)と触れ合うワークショップ」が始まりました。
広瀬先生はまず、参加者に自分に背を向けて壁の方を向くように指示し、「手を挙げて、手を振って」と呼びかけました。
そして「視覚が使えない不自由と視覚を使わない自由」について教えてくれました。
目が見えないことで不自由がある。
例えば、みんなが何かをやっているから、自分もとりあえずやってみる。でも違うことをしているのではないかと不安になる。
しかし、「周りの人と違ってもいい、自分の楽しみ方をしよう」そう考えたとき、視覚を使わないことで得られる自由がある。
「このワークショップでは、視覚を使わない自由を感じて欲しい」と広瀬先生は語りました。
隣りにいる人と握手をすることから始まり、腕の一部と一部をクロスさせるように重ね、触れた部分に集中しながら、相手がどう動きたいかを読み取り二人で調和しながら動きました。
参加者たちはダンスを踊っているように楽しそうに見えました。
交互にアイマスクをして、触れた部分により集中して互いの動きを感じたり、階段を歩く誘導をしたりと、普段はできないようなノンバーバルコミュニケーションを体験しました。
見えないからこそ広がる世界、見えないからこそ得られる自由を感じる、まさに感性をひらく時間でした。
広瀬さんは目が見えないから感じている豊かな世界を参加者に見事に体感させてくれました。
この「見えないからこそ得られる体験」は、翌10月28日の彫刻家 片山博詞さんの創作ワークショップへと続きます。