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活動報告

7月6日 第3回 基礎講座「対話をうながすファシリテーションのすすめ」

2019年07月16日活動報告

「福岡女子大学アートマネジメント講座」 第3回 基礎講座「対話をうながすファシリテーションのすすめ~対話の中からアイデアを創造する~」が開催されました。講師は日本ファシリテーション協会の九州支部設立にも関わった、株式会社トライローグの代表取締役?平山猛さんです。今回はグループで協力して企画を立てるときのファシリテーションのスキルについて教えてくださいました。


 
「みなさん、普段の話し合いはうまくいっていますか?」。平山さんの受講生への問いかけから講座が始まります。会議中に別のことをしている人、何も話さずひたすら耐えている人、うとうとしている人…。長時間話し合っても何も決まらない会議は、参加者の関わり方に問題があります。午前中は会議に全員が参加して知見を見える化し、短時間でアイデアを出して集約するための方法「ポストイット®ミーティングソリューション™」について学びました。


 
まずは4~5人のグループに分かれ、お互いを知り合います。付箋に「これから私がチャレンジしたいこと」を書いてボードに貼り、それぞれ1分間で発表しました。「骨格診断?パーソナルカラー診断」「断捨離」「日本語教師の資格をとる」「自分の畑をたがやす」などユニークな目標が並び、質問が活発に飛び交います。最後にグループ内で最も応援したいと思うチャレンジを一つ選びました。それが午前のワークのテーマとなります。
Aグループは「どうしたら英語を話せるようになって外国人とコミュニケーションがとれるようになるのか」、Bグループは「どうしたら教育に関わることで収入が得られるようになるか」、Cグループは「どうしたら菊池温泉に全部入ってつるつる美人になれるのか」をテーマに設定しました。




 
次にチャレンジを成功させるためのアイデアをグループ内で出し合います。受講生それぞれに配られた用紙に自分のアイデアを書き込み、グループ内で用紙を回して、さらにアイデアを追記します。このブレインライティングという方法を使えば、50や60ものアイデアを短時間で集めることができます。
 
その後、出された60近い提案を内容が似ているもの同士でグループにすると、チャレンジを実現するためのいくつかの方法が可視化されました。さらに、それらの方法の効果や実行性を推し量ります。最後にグループそれぞれ、テーマに対してどのような方法でチャレンジするのかを発表しました。


 
一連のミーティングソリューションを経験した受講生からは「次々にアイデアが浮かんでくる体験ができた」「自分一人では思いつかない提案もあり、すぐさま実行したいと思った」「本当の目的、目標が明確になった」といった感想が聞かれました。平山さんは「他の人の意見に便乗するのが大事。着想を得れば一人で考える以上のアイデが出せます」と話し、午前のワークを締めくくりました。
 
午後は自分が経験してきた「良かった会議」「残念な会議」を思い出して付箋に書き出し、グループ内で共有するところからはじめます。受講生からは「目的がはっきりしている」「進め方が上手である」「みんながいきいきと話せる」「それぞれの発言の時間が確保されている」会議が良いと意見があがりました。
一方で残念だったのは「上司の顔色を伺って発言できない」「空気を読むことを強要される」「話がまとまらない」「一人の話が長い」「強い人の意見が通る」会議。平山さんは受講生の意見を聞き、「なぜ、私たちはわざわざ集まって話し合いをするのか?それは個人で出すアイデアの限界を超えられること、そして文字情報の限界を超えられることです」と伝えます。
 


「ファシリテーションとは引き出す力。ファシリテーターは単に会議を進める司会ではなく、参加者が話しやすくする場をつくり、結論を出しやすくする進行を担います」と平山さん。ファシリテーターに必要な「対話」と「可視化」について、実際にワークを通して学んでいきました。
 
まずは「対話」。ファシリテーターは参加者同士での対話が起こるように、参加者一人ひとりに話しかけます。そのためには「聞く」と「話す」のバランスが大事です。ポイントは相手を受容して共感する「傾聴」。話し手の語尾を繰り返す復唱や相手の言ったことを要約した返事、相づちが有効だと平山さんはアドバイスします。「話し手の沈黙には意味があります。何を考えたらいいのかわからないこともあれば、発言のために考えていることもあります。意見を引き出すために、沈黙に耐えるのも大切です」。
 
最初に「聞く」のペアワークが実施されました。グループの中でペアをつくり、一人が「最近悩んでいること、困っていること」について5分間話します。もう一人は傾聴を意識してその話を聞く。5分後に、聞き手と話し手が交代。話し終わった後の振り返りでは、「否定されないので自分で解決方法が見出せた」「話すことで一つのことを多角的に見ることができた」との意見があがりました。
 


次は「話す」ワークです。「私の良いところ」を1分間で相手に伝えます。大切なのはできるだけ短文で話をすること。そしてわかりやすい言葉を使うことです。最後は「対話」。「最近嬉しかったこと、楽しかったこと」について二人で5分間話しました。「聞く」と「話す」のバランスを意識しながら、相手の話を聞いて共感し、自分も話す。これまでのワークを活かし、笑顔で互いに相づちを打ちながら聞いているからか、参加者の楽しそうな笑い声があちらこちらで生まれて、対話が生まれやすい場のつくり方を体験できました。


 
次に3人組の4グループに分かれ、「可視化」の方法を学びます。まずは「なぜプラスティックゴミが減らないのか」についてメンバーで自由に話し合いました。その後、2分間の時間をとってそれぞれが付箋に意見を書き、メンバーに共有しながら話し合います。可視化のメリットは、意見が視覚情報として見えるため、話を展開しやすいこと。誰が話したかではなく何を話したかが見えるため、意見と人を分離して、純粋に意見について議論が交わせるのです。




 
その後、ホワイトボードに意見を書きとめる練習をし、最後のワークにうつりました。ファシリテーターが質問を投げかけながら、二人の対話を書き出し、結論に導いていきます。テーマは「新人に身につけてほしい3つの要素」。二人それぞれの意見から要素を絞り込もうとするチーム、ホワイトボードに3つのボックスを描いてゴールを明確にし、意見を落とし込んでいこうとするチームとさまざまです。10分間の設定時間を過ぎても話し合いに熱中するチームもありました。
 


講座の最後に「ファシリテーターは傾聴と質問で対話を促し、話し合いを可視化する重要な役割を担うのです」と語った平山さん。これからチームをつくってプロジェクトを進める時に、今回の講座で経験したことを思い出しながらうまく話し合いを進めてほしい、と受講生に激励を送りました。




 
 






 
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