7月27日 第4回基礎講座「企画書の作成 活動資金の種類と獲得」
2019年08月20日活動報告
7月27日午前中の「企画を考えるワークショップ」が終わり、休憩を挟んだ後、午後からは基礎講座の第4回「企画書の作成 活動資金の種類と獲得」の講座が始まりました。
今回、登壇してくださったのは、NPO法人ドネルモの宮田智史さんです。NPO法人ドネルモは、超高齢社会に向けた支え合いの場づくりやプログラムづくり、その担い手の育成などを手がけています。地域と連携したアートに関わるイベントも計画し、2009年にはガイドが福岡アジア美術館を案内するツアー「あじかん」や、アーティストと一緒にまちなかのアートを発見するまち歩きイベントを開催しました。
自分がやりたいと思ったアイデアを具体的な企画としてかたちにすることは簡単なことではありません。宮田さんは、企画の具体化の例として、東京都現代美術館において展覧中の会場内でビール販売が実現したエピソードを紹介します。2008年当時、川俣正「通路展」の通路カフェラボの担当者だった児玉覚生さんは「美術館でビール出したら面白そう」というアイデアを思いつきます。ただ、周囲を見渡しても会場内でビールを出す美術館はありません。しかし、調べていくと、美術館でお酒を出すことを禁止する法律がないことに気づきます。そこで、美術館だけでなく保健所や行政機関を訪ね、どうすればお酒を出しても問題にならないかについて提案と交渉を1年以上も続け、実際に実現したのです。個人的な思いやアイデアを実現するためには、社会的な価値の提示や多くの人の理解を得る必要があります。そうした観点から、「なぜ企画を実施するのか。どのような価値が生まれるのか考え、伝えることが重要」と、宮田さんは話します。
企画づくりと同時に、非営利団体であればファンドレイジング(資金調達)が必要になります。活動の資源は人や情報、ノウハウ、情熱など多岐に渡り、資金はそのなかの一つ。「会費」「助成金」「寄付金」など、財源にも種類や特徴があり、継続性はあるか、まとまった額かどうか、使途に制限はないか、などで分類することができます。
ファンドレイジングはときに「フレンドレイジング」とも言われます。というのも、実際に寄付をしてもらうためには、その活動に多くの人から共感?賛同を得て、「仲間」になってもらう必要があるからです。そうした場合、活動を通じて「解決したい社会課題」「誰のためのものか」「どんな成果につながるのか」「強みや魅力」などを押さえて、説明できるようにしておくことが求められます。継続して支援が受けられるよう、段階的に周りとの関係構築することも大切です。
また、助成金の性格と特徴をよく確認し、自分たちが計画する活動に適した助成金を選ぶ必要があることなどをお話しいただきました。助成金の申請時には、申請書の記入が必要です。記入のポイントは、「文章力よりもわかりやすさを大切にする」「解決策と実現性、成果を具体的に記述する」「予算やスケジュールの整合性を確認する」などさまざま。ポイントを押さえるだけで、申請書の通過率がグッと上がります。
続いて、受講生が事前に作成した企画書のレビューの時間を設けました。7月初旬の講座で、受講生に企画書の作成の練習として宿題を課し、指定された様式に企画を記入し提出してもらっていました。記入事項には事業名、課題やニーズ、必要性、目的、具体的な内容、スケジュール、予算、期待される成果などの項目があります。
まず、3人1組になり、それぞれの企画書を読み込んで相互にレビューします。感想、わかりにくい点、良いと思った点、詳しく聞きたい点などを伝えて、企画と企画書のブラッシュアップを図りました。宮田さんは企画書を見るポイントを受講生に伝えます。「課題、目的、事業内容の整合性は十分か。飛躍はないか」「具体的な目標設定があるか」「時間軸は設定されているか」などです。
あるグループでは「斬新でおもしろい!」「ターゲットが明確だね」などの感想が出ています。他のグループでは「文章で十分に表現できていないかも」「もっと詳しく書いたほうがわかりやすいね」「私とあなたの企画はどちらもものづくりがテーマだから、良い点を合体させたらもっとおもしろいかも!」と、いろんな意見が飛び交う時間となりました。
最後に、宮田さんが受講生の企画書のなかからいくつか選んでレビューしました。その中の一つが地域の美術館をもっと知ってもらうための「学芸員による美術館ツアー」です。「美術館について知る人が少ないことで、どんな弊害があるのか。どういう点がもったいないのか。また、それが変化することでどのような効果が期待できるか。そうした点を整理して説明できればもっと良い企画になりそうですね」。企画した本人は、宮田さんのレビューを受けて今後ブラッシュアップする点が明確になりました。
受講生に、ターゲットへのアプローチの仕方や事業名の工夫などをアドバイスした宮田さん。「箇条書きを使ったり、文字数を制限したりすることで、企画書はもっと見やすくなります。整合性、ビジョンなど全てのポイントを押さえるのは難しいのですが、どれだけ押さえられるか。伝わりやすい企画書を目指してみてください」と締めました。
「実現させたい」という思いだけでなく、周りにどう伝えていくのか。課題や問題を把握し、「いま」「この場所で」取り組む意味をしっかりと企画書に盛り込むことが重要なのです。
今後の企画作成にあたって、受講生にとってためになる講座になりました。
今回、登壇してくださったのは、NPO法人ドネルモの宮田智史さんです。NPO法人ドネルモは、超高齢社会に向けた支え合いの場づくりやプログラムづくり、その担い手の育成などを手がけています。地域と連携したアートに関わるイベントも計画し、2009年にはガイドが福岡アジア美術館を案内するツアー「あじかん」や、アーティストと一緒にまちなかのアートを発見するまち歩きイベントを開催しました。
自分がやりたいと思ったアイデアを具体的な企画としてかたちにすることは簡単なことではありません。宮田さんは、企画の具体化の例として、東京都現代美術館において展覧中の会場内でビール販売が実現したエピソードを紹介します。2008年当時、川俣正「通路展」の通路カフェラボの担当者だった児玉覚生さんは「美術館でビール出したら面白そう」というアイデアを思いつきます。ただ、周囲を見渡しても会場内でビールを出す美術館はありません。しかし、調べていくと、美術館でお酒を出すことを禁止する法律がないことに気づきます。そこで、美術館だけでなく保健所や行政機関を訪ね、どうすればお酒を出しても問題にならないかについて提案と交渉を1年以上も続け、実際に実現したのです。個人的な思いやアイデアを実現するためには、社会的な価値の提示や多くの人の理解を得る必要があります。そうした観点から、「なぜ企画を実施するのか。どのような価値が生まれるのか考え、伝えることが重要」と、宮田さんは話します。
企画づくりと同時に、非営利団体であればファンドレイジング(資金調達)が必要になります。活動の資源は人や情報、ノウハウ、情熱など多岐に渡り、資金はそのなかの一つ。「会費」「助成金」「寄付金」など、財源にも種類や特徴があり、継続性はあるか、まとまった額かどうか、使途に制限はないか、などで分類することができます。
ファンドレイジングはときに「フレンドレイジング」とも言われます。というのも、実際に寄付をしてもらうためには、その活動に多くの人から共感?賛同を得て、「仲間」になってもらう必要があるからです。そうした場合、活動を通じて「解決したい社会課題」「誰のためのものか」「どんな成果につながるのか」「強みや魅力」などを押さえて、説明できるようにしておくことが求められます。継続して支援が受けられるよう、段階的に周りとの関係構築することも大切です。
また、助成金の性格と特徴をよく確認し、自分たちが計画する活動に適した助成金を選ぶ必要があることなどをお話しいただきました。助成金の申請時には、申請書の記入が必要です。記入のポイントは、「文章力よりもわかりやすさを大切にする」「解決策と実現性、成果を具体的に記述する」「予算やスケジュールの整合性を確認する」などさまざま。ポイントを押さえるだけで、申請書の通過率がグッと上がります。
続いて、受講生が事前に作成した企画書のレビューの時間を設けました。7月初旬の講座で、受講生に企画書の作成の練習として宿題を課し、指定された様式に企画を記入し提出してもらっていました。記入事項には事業名、課題やニーズ、必要性、目的、具体的な内容、スケジュール、予算、期待される成果などの項目があります。
まず、3人1組になり、それぞれの企画書を読み込んで相互にレビューします。感想、わかりにくい点、良いと思った点、詳しく聞きたい点などを伝えて、企画と企画書のブラッシュアップを図りました。宮田さんは企画書を見るポイントを受講生に伝えます。「課題、目的、事業内容の整合性は十分か。飛躍はないか」「具体的な目標設定があるか」「時間軸は設定されているか」などです。
あるグループでは「斬新でおもしろい!」「ターゲットが明確だね」などの感想が出ています。他のグループでは「文章で十分に表現できていないかも」「もっと詳しく書いたほうがわかりやすいね」「私とあなたの企画はどちらもものづくりがテーマだから、良い点を合体させたらもっとおもしろいかも!」と、いろんな意見が飛び交う時間となりました。
最後に、宮田さんが受講生の企画書のなかからいくつか選んでレビューしました。その中の一つが地域の美術館をもっと知ってもらうための「学芸員による美術館ツアー」です。「美術館について知る人が少ないことで、どんな弊害があるのか。どういう点がもったいないのか。また、それが変化することでどのような効果が期待できるか。そうした点を整理して説明できればもっと良い企画になりそうですね」。企画した本人は、宮田さんのレビューを受けて今後ブラッシュアップする点が明確になりました。
受講生に、ターゲットへのアプローチの仕方や事業名の工夫などをアドバイスした宮田さん。「箇条書きを使ったり、文字数を制限したりすることで、企画書はもっと見やすくなります。整合性、ビジョンなど全てのポイントを押さえるのは難しいのですが、どれだけ押さえられるか。伝わりやすい企画書を目指してみてください」と締めました。
「実現させたい」という思いだけでなく、周りにどう伝えていくのか。課題や問題を把握し、「いま」「この場所で」取り組む意味をしっかりと企画書に盛り込むことが重要なのです。
今後の企画作成にあたって、受講生にとってためになる講座になりました。